縮んだほうれんそうは美味しくなかったですよ。寒じめほうれん草のことですか?・・・そう言われても困惑。

2010年1月22日 22:00

冬期に出回るほうれん草のパッケージに記載されているタイトルはバリエーションが豊富。縮みほうれん草、寒じめほうれん草、ほうれん草、そして「まほろば」とか「赤根ほうれん草」といったネーミングが付いている。

 

もともと日本のほうれん草の主軸は「東洋種」、その後、強くて収量の多い西洋種と掛け合わせになってF1品種が登場。さらに品種間の交配が複雑にからまり、周年栽培の技術も標準化され、ほうれん草の味も平坦化。ポパイのほうれん草は西洋種で、缶詰とかバター焼きにあうが、東洋種は「おひたし」などのシンプルな料理にあう。

 

見た目で判断する基準は葉っぱがぎざぎざ、根っこが赤色は東洋種の系統と考えていいだろう。

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ほうれん草はどんな品種でも寒さにあたれば縮む。そしてうまさを増す。ただし外見、収量を考慮すれば品種改良されたものが優位にたつ。東洋種のほうれん草は生育は弱いが、美味しい。よって美味しさをとことん追求すれば、品種改良されていないほうれん草を寒締めすれば良い。逆に収量を重視すれば寒さにあてなくても縮こまる品種をあたたかい地域で沢山・早く育てればよい。
11月下旬の暖かい時期に、形も味も中途半端なほうれん草が「寒じめほうれん草」の名でスーパーに出回っていた。少し前から「最近の寒じめほうれん草は美味しくない」という生活者からの意見が上がっていた。産地に報告だけはしておいた。

 

産地での試行錯誤が続く

 

それでもスーパーへの陳列は続いたが、12月に入った頃から少し味がのってきて、そして1月中旬の今、やっと真に寒じめされたほうれん草が出荷されている。

 

「寒じめほうれん草」の定義を今一度繰りかえす。栽培技術である。ハウスである程度大きく成長させたあとに寒気にさらす。大切な事は地温の低下が持続すること。大胆な言い方をすれば、品種にかかわらず寒じめすれば美味しさが増す。

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寒い地域ならではの栽培技術

 

ところが寒じめ栽培技術を用いなくても「縮れている姿を持つように品種改良されたほうれん草」も一緒に市場に出回る。それが美味しかったり、美味しくなかったり、スーパーのPOPも寒じめほうれん草と記載していながら、パッケージはちぢみほうれん草となっていたり・・・。


目に付く順序に食べてみる

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まほろば:赤い根っこ、葉っぱがぎざぎざで東洋種の系統色が強い。1パックに9-10株入り。いろいろな味が交差して昔懐かしい大人のほうれん草味。わずかに繊維質が残るけれど、むしろかみ締めることで味わいが出る。

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寒じめほうれん草:葉っぱが大きくて葉脈のところで縮れもしっかり。比較的、茎が長い。1パックに3株入り。柔らかく全般に濃厚な味だがすっきりしている。子供たちが好きになるはず。

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ちぢみほうれん草:1パックに2株入り。葉っぱ、茎とも多い。収量、外見重視のほうれん草という感じは否めない。茎の部分だけ美味しかったが、葉っぱは味がうすい。

 

 

 

ほうれん草の昔の味を知っている方にとっては、ほうれん草の食味は関心が高いと聞く。

味重視の野菜の世界がひろがってほしい。

 

品種はなんであれ寒じめ栽培技術で食味が向上するならば、この時期に正しく寒じめされたほうれん草を頂いて、かつての品種改良されていないほうれん草の味に思いをはせるのも悪くない。

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