言葉のない企て:日本文化再創造

2011年9月20日 23:54

日本人の創る料理は領域問わず美味しい。フレンチであれ、イタリアンであれ、その繊細な盛り付け、味わい、タイミング・・・など日本人の感性に合う。こちらの感性を知りえない外国人料理人のパーフォーマンスだけの料理は興味ないし、観光あるいはたまたま訪れた際、主人に連れていってもらうくらいだ。それは本物を知らないだけ、と言われても「ああそうですか・・」くらいの返答しかできない。一人旅の時は地元の人に人気のある場所しか訪れない、あるいは体調をコントロールするために果物とパンしか食べないこともある。

もともと繊細な日本の食材・・野菜、豆、酢など日本料理以外のお料理で頂く・・・これがひとつの日本文化再創造である。これには厳格なルールがあって、その食材について伝統的日本食のポジションがきっちりと定義されていることである。この二つは同時進行で行われてほしい・・・と願っている。

今回のお題目は美上下レタス、与論島きび酢、調理用トマトにたきこま

そしてフランス・アルザス地方からお帰りのマスターソムリエ高野氏の土産話

以前であれば事前にあれこれ確認のやり取りがあったが、今は食材を事前に送付しておくと、いつの間にかインフォメーションが届いてメニューが決まっている、会場に向かうと「今回はこう来ましたか・・・」と。

最近は岩シェフにお会いしていない。

今回のメニューはいつもの岩シェフらしくない、少々挑戦的な感じがした。なんというか「メニューについてこい!」みたいな感じがした。何かあったのかなぁ。お店の女の子に「後でこっそり聞いておいて・・」生きていれば人間いろいろなことがある。

さてメニュー(画像は写真家、小平尚典氏・・・ただし今回はカジュアル、一眼レフでは無いカメラです。無理を申しまして画像を頂きました。)

美上下レタスのニース風サラダ
茹で卵と、じゃがいもとアンチョビと黒オリーブ・黒こしょう。正統派


美上下レタスと自家製パンチェスタのリゾット
レタスはさっと熱を加えると風味が変わる。私は・・・塩焼きそばに入れることがある。パリの街の片隅で、焼きそばを頼んだらレタスがごそっと入ってきたことがあって・・実に美味しかった(チーズも入っていた)。



氷見直送フクラギのソテーたまねぎときび酢のサオールソース

丁寧に炒めた玉ねぎは美味しい。そこに与論島きび酢。普通のお酢よりちょっと甘くてミネラル感や黒砂糖で感じる複雑な甘さがあり、酢の、なんというか「あめた匂い」を感じさせない。これは肉で応用してみよう・・。



マーブルポークと3種のチーズのローストにたきこまのピッツァイオーラ風

この存在感。どしりと「にたきこま」のトマトのうま味が、脂身の多い豚肉と夏野菜にマグニチュード9.0.決して塩辛くなく、それぞれの個性派食材をばらばらに暴走しないように調和させている。

みなさんお皿のソースもきれーいに食べていらっしゃいました。それに赤ワインがよくあう。なんでも宣伝しなくても、それを指名して買いに来るお客様ばかり…のワイナリーらしい。


チーズを三種
高原のナチュラルブルー・カマンベール・茶チーズ

ナガノパープルの生チーズタルト

マスターソムリエ高野豊氏のワインセレクト。仕事でアルザス地方へ。帰国して間もなくとのこと。

キリアンワイン・リースリング2007
1年前と全く違う。以前は、どうしてこのワイナリーをひいきするのだろう・・と疑問だったが・・・なるほどぉ・・。

シャトー・デュ・ムエイ・ブラン2007「フランス、ボルドー地方、プルミエ・コート・ド・ボルドー地方」


シャトー・デュ・ムエイ・ル・クレレ2008

井筒ワイン・原産地呼称認定・シャルドネ樽熟成2009「長野県、塩尻市」

シャトー・レザロマン・ド・ガルト2009「フランス、ボルドー地方」

シャトー・デュ・グランジュドール2002「フランス、ボルドー地方、メドック地区」

キリアンワイン・セミヨン・アイスワイン2005「チュウゴク、甘粛省、高台」

そして欄外:高野氏が「私が人格を失いそうになったお酒」と注がれた透明なお酒は・・・


グラッパ48%。鼻腔から頭頂葉まで突き抜けるかのようなその香りと、さあ酔いなさい・・と天から命令されるかのようにふっ・・・っと。ああ脳波が変わりそうになる。

これを人格の変化と表現したのか?私の理系的表現では色気が無い・・・。ブドウの品種「ゲブルツトラミネール」。私が聞くと「ゲブルツトラミラーゼ」?といった生体内酵素に聞こえてしまう。メモしてもらう。


程よくできあがり・・・これも再創造と都合のよい解釈で・・アンチエイジング世代の楽しい生き方と、私は提唱していきたい。


いつも「次回はこの食材!!」とわがまま言い放題。それを「あっそう?」と受け止めてくださる岩シェフと高野氏に感謝を。

それから・・じゃじゃ馬「めぐ先生」を見守り続ける野菜王さまに感謝と祈りを・・。

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