本物の安納イモを求めて・・種子島安納地域へ向かう
2010年9月20日 18:30
安納イモは元来、種子島安納地区の在来種を品種改良して出来たサツマイモであると聞く。美しいオレンジ色がかった黄色と、しつこさのない、粉っぽさの無深い甘み。紫イモの次に、にわかにブームとなり登場したサツマイモである。
種子島以外でも栽培は広まり、なにやら種子島を含む鹿児島県一帯で栽培されているサツマイモという認識となった。供給量も多くなり、空港売店その他ネット、通信販売、いたるところで手に入る。 農作物の運命なのだが、その性質上、人気が出るとその種や苗は一斉に売れ、栽培農家も多くなる。残念ながら栽培農家や栽培地によっては、その本来の味や個性をなくしてしまう。というより美味しくなくなる、といったほうが正しいだろう。大多数がそのような道を辿り、本家本元の信頼まで損ねる結果となる。さつま芋は頑丈作物なので植えればとりあえず作物は収穫できる。
紹介された農家、山田さんは安納地区で古くから安納イモを栽培する。高台から眺める安納地区は美しく、その先には海が広がる。
山田さんの畑には収穫の時期には未だ収穫には早すぎるという安納イモが、今まさしく太陽光をでんぷんに「エネルギー変換」されてじっくりじっくり地下茎に流れ込んでいるのが見えてくる様である。
どんなに美味しい農作物とて、これまでの流通のしくみに乗れば「共選」という、「外観、大きさ」だけで選択され「平等」に同じ箱に収まり、流通にまわる。
「やきいも」などの一次農産物加工品はその農作物の背景・出来栄えが品質や商品イメージにダイレクトに結びつく。山田さんの安納イモは選ばれたサツマイモとしてお菓子会社に買い取られ、他の安納イモよりは評価された道を歩んでいるかのように見える。
ここに全国一斉の問題が浮かび上がる。流通システム仲介者は、売れる農作物を一斉に集め売りさばくことで利益を生み出す。売れるイコール良質・美味しい、ということでもない(と感じている)。そして売れるから買値を高くする、というしくみでもない。山田さんのような優秀で選ばれた農家(ダイレクトに売り場を持つ農家)にはおとなしくして欲しいのだ。おとなしく、というのは「看板」だけ出して目だっていて欲しい、ということだ。安納地区の他の農家さんには「共選」されるレギュラーな安納イモを生産して欲しい。その「欲しい」がforceとなる。安納地区の美しい光景が商品価値全体を高くするから。
その事はベジタブル・フォーキャスターの感心ごとでは無い。問題は真の安納イモを筋を通して美味しいと伝えたいだけだ。
さてすでに空港売店やお土産屋さんには安納イモが陳列販売されていた。山田さん曰く「きちんと糖度が乗ってからでなければ出荷などできない」と語る。種子島安納地区の農家さんが美味しいサツマイモを生産し正当な収入を得て、また来年もその次の年も美味しいサツマイモを生産できる。その農家さんたちの幸せに満ちた表情が地域を美しくし、さらに農作物の商品価値が上がる。それを願うのはごくあたり前の感情ではないか。
これから出回る安納イモ。目の前の商品は本当に安納地区の安納イモなのか?確認する手段は限られている。
産地として、品質に対するこだわり・責任、そしてそれを表現、管理していく方法は「長野のぼたんこしょう」がフロント・ランナーだ。