奈良漬け、それは野菜の芸術発酵

2011年3月5日 21:16

美味しい奈良漬け、そういえば知らない。歴史ある奈良、きっと名店があるに違いない。



お願いしたら導かれたのが株式會社森奈良漬店。



7代目店主森茂氏は野菜をよく知る、そしてウェブも自在に構築してしまう、なかなかの人なのだ。とにかく人間が暖かい。

それはそうと、漬けている野菜が興味深い。


まずは大和三尺きゅうり。固定種だったこのきゅうり。サイズが流通と生野菜サラダ文化(すなわちマヨネーズ文化)にマッチせず衰退の一途だった、このきゅうりを漬け物に使用することで、見事に大和野菜として蘇らせたのだ。種の部分が少なく着けた姿が美しい。ピクルスみたいに使用するのがよろしいかも。モッツアレラチーズと合う、すでに立証済みとか。

そしてすいか。花落ちしたかなり若い実を使用する。ズッキーニみたいな感覚だ。

それからしょうが。通常のしょうがより小さい、名前も「小しょうが」。奈良漬けにするとパンチそのままに甘さが加わり、これがやみつきになりそうだ。おろして薬味にしても面白そうだ。



そして瓢箪。遊び心に味が随伴して日本文化として後世にのこしたい漬け物の一つだ。瓢箪がやっと美食のステージにたてる希有な領域。

その他、定番の「うり」、「はやとうり」の奈良漬けは絶品。色も美しいセピアと琥珀の中間色。

浸けてほしい野菜を思いつくままに口にしてみた。ごぼうは奈良漬けに風味があわない。トマトは興味なさそうだったが調理用トマト「ニタキコマ」を推薦してみよう。

この店主、醗酵行程と食材の真髄を大事にしている。砂糖や化学調味料一切使用していない。名店の基本。

大仏前にお店がある。ただし中の様子は今回限定でしたので。念のため。


購入した奈良漬け。これまた宅急便で送った大和春菊とリンゴを西瓜の奈良漬けと混ぜるだけ。箸休めに。


むかごともあうし、チーズ系と炭水化物との相性もOK。調味料感覚で使用するとバリエーションが広がります。

歴史ある食材は日本の財産です。