知っておきましょう。

2011年4月4日 22:38

被曝の影響
大量の被曝を生じた際に急性に生じる「確定的影響」と、より低い被曝量域から生じる「確率的影響」に分けて考えます。専門家が奥歯にものがはさまったような言い方をするのは、下記の通り、まだ不明な点が多いことが理由でしょう。

確定的影響
ある程度多量の放射線を浴びたときには皮膚粘膜障害や骨髄抑制、脊髄障害が出現、またかなり多量の放射線を浴びた場合には死に至ります。これらの障害は、それぞれどの程度の被曝量から生じるかの閾値がだいたい決まっていて、このような性質を持つ放射線障害は、確定的影響と呼ばれています。
細胞分裂の周期が短い細胞ほど、放射線の影響を受けやすく(骨髄、小腸細胞、眼の水晶体など)、逆に細胞分裂が起こりにくい骨、筋肉、神経細胞は放射線の影響を受けにくいといわれています。妊娠中に胎児が被曝した場合には、胎児への影響が起こりうるのですが、線量との関係は確定的影響であるといわれています(しきい値が存在する)。100ミリシーベルト以上の被曝をすると奇形、精神発達遅延、小児病(発がん)、遺伝的な影響が生じるとされています。

確率的影響
放射線障害のうち、白血病は簡単に言うと突然変異の一種であり、上記の確定的影響とは異なるメカニズムで発生するといわれています。これらの影響については、明確なしきい値はなく、線量に応じて突然変異の確率が上がりますが、少量の被曝であっても、少量なりのリスクがあると考えられていて、これを確率的影響と呼んでいます。
確率的影響が関与するのは、長期間経過したあとの発癌(被曝と関係なくとも一定頻度で生じうる)であるため、その因果関係を示すには統計疫学を利用するものの、解釈はなかなか難しいようです。
広島、長崎の被爆者の追跡調査データから、200mSv以上の被曝について、被曝線量と発ガンの確率が「比例」していることが分かっています。50mSv以上の急性被曝については被曝線量と発ガンの増加が関連しているらしいことが知られているが、ただし相関関係は明瞭でありません。線量の大小とがんの重篤度の間(たとえば悪性度が高いなど)には明確な関係がありません。
生殖細胞が突然変異を起こした場合は、遺伝的影響を起こす恐れがありますが、遺伝的影響にも重篤度はさまざまです。
一方で、たとえば検診レベルのX線画像検査や、原子力発電所の周辺住民が受ける被曝の影響(通常の状態に限り、現在は非常時で解釈が異なります)、といったものを考える場合、問題は複雑になります。せいぜい数mSv、ないしそれより遥かに小さい被曝量であり、放射線以外の理由による発癌の方がずっと多くある中で、被曝の影響による癌発生率の増加について、疫学的・統計学的に確認することは極めて困難です。

不安ならほかの手段(食事・運動)でガンのリスクを下げましょう。がん発症のは複合因子です。

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