医療がコンビニ化しない様に
2011年6月15日 20:22
それば手打ち蕎麦屋と立ち食いソバの違いのように、選ぶ人がその価格と価値を把握した上で評価を下す、ということが医療機関には当てはまらない。
今日は風邪をひいてつらいので病院に行こう!
Aさん、大事な会議があるからはやく薬を処方してほしい。
Bさん、どうもいつもの風邪症状とは違うからちゃんと診察を受けて、どんな食べ物が良いか、とかホームケアも指導してほしい。
この2つ、あるはこの10倍以上のニーズの違いが、同じ待合室にあふれている。
そして・・・
医療関係以外の方と話をしていると、どうも医師は良く思われていないようで気の毒になる。気の毒になる・・そんな第三者的な表現なのは、かつて地域医療をしていた経験から、自分の評価や噂話が、実態のそれとは大きく異なっていることを経験しているからだ。
医師は基本的に肉体・精神労働者だ。眠らなくてもあたりまえ、これくらいキツイことを言ってもこちらは患者だから許される、給料が高いのだからそれくらい働いてあたりまえでしょう・・・。
かなり手厳しい。しかし皆、生身の人間。もっとも間違っているのはお給料。金融機関や大手民放の方々の方が高いそうで・・。しかもプライベート時間は限られているから、奥さんから三行半をつきつけられ、実家に帰ってしまったきり・・、あるいは離婚という話も、そう珍しくはない。
それでも20年くらい前は、皆さんから尊厳をもって「先生」と言われた。それが救いでどんな過酷な毎日でも、楽しく過ごせたような気がする。
ところが、最近は・・・・。これは医療システムに問題があるのだ(と解釈している。医療評論家やジャーナリストではないのであくまで感想)。
日本の医療費は安い。東京で虫垂炎の手術を受けるのとニューヨークで手術するのでは3-4倍の開きがある。しかもニューヨークは日帰り手術だ。
そして出来高払いのしくみ。沢山診ないと経営が成り立たない。病気を予防する、という医師法の最初に掲げられているプリンシパルが診療報酬に反映されてきっていない。
高齢者医療には希望を見いだせず・・。生活習慣病などは患者さんの病気に対する理解度が低いと、説明する気が失せてくる・・・。つまりともに病気を治す喜びという基本が無くなっているのだ。
立ち食いソバを3時間で食べて満足なひと、手打ちそばを5分で出されて食べて満足の人、立ち食いソバを食べに来たつもりなのに2時間またされて腹を立てる人。それでも値段の差があれば解り易かろう。
診療報酬は一律。患者さんの評価はまちまち。結果ではなくプロセスの快適さを求められれば、コンビニ化の流れはとまらないと思う。
それから医師に基本的な人権を認めてあげないと、社会人としての素養を磨く機会をなくし、業とか心意気といったプロ意識が育たなくなると思います。逆に社会からの賞賛はモチベーションを高め、医師の社会参加を促し、地域社会をよりよくしようという意識は結局、医療の質を高める結果となります。
望む医療があるのなら、患者さんもその対価を払うべく努力が必要です。
対価を支払わなくても、少なくても日本の医療システムに感謝の気持ちを。