野菜王的処方せん・・・現代病へ「雑穀の処方」

2010年8月3日 23:37

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日本で流通されている雑穀は輸入品が多くを占めている。岩手県は雑穀で有名。その中でも雑穀の巨匠・高村先生をなくして雑穀は語れない。おそらく日本で、いえ世界で唯一雑穀で有機認証を受けている高野先生の雑穀。それは量産すれば良い、といった現代農業の対極に位置し、大きな大きなメッセージを私たちに送っている。

 

かつてはキャベツ農家だった高村先生。農薬で健康を害し時代の流れを察知し雑穀栽培へ変換した。それは単にニッチな農産物でヒットを狙う・・ということでは無い、植物学者の視点での雑穀を追い求める情熱が後押ししたのだろう。


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そんなに古くない時代でも、いわて県北部は雑穀を栽培し食していた。品種改良で冷涼な気候でも栽培可能な白米生産が広がっても、地域の女性たちは「美味しい」「身体に良い」という理由で自家採取し雑穀を脈々と栽培してきたという。その女性たちから雑穀の情報を得、そして種を探し、高村先生の畑には今でも品種改良がされていない雑穀が栽培されている。


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それは日本の心の原風景だ。癒される。


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堆肥、土づくり・・・有機認証は近年さらにハードルが高くなったという。高村氏のところにはアトピーの子供のために食材を求める母親がわざわざ訪れるという。

 

さて雑穀は美容・健康食ともてはやされているが、ヒトでの具体的な検証は済んでいない。白米にブレンド雑穀を混ぜて炊くと、その結果どうなるのか・・・つまり身体の中に入ってからの栄養学が十分に論じられていないのだ。かいつまんで言うと

1. 精製されすぎた白米に栄養価(ビタミン、ミネラル、抗酸化物質、食物繊維)をプラスする。

2. GI値が低い雑穀を混ぜることにより若干消化吸収がおだやかになる(配合によりさまざま)。血糖上昇が緩やかになる。それがお腹もちが良さにつながり空腹感を感じにくくなる。

3. 食物繊維がコレステロールの排泄を促進する。

4. 腸内細菌の環境に好影響を及ぼす。

5. アレルギー疾患との関連は動物実験レベルのデータしか無い。(しかし日本人の遺伝子に記憶された食の情報に違和感なく受け入れられ・・・ということはアレルギー反応が低いかもしれない・・という推察にとどまる。ただし農薬成分が残存していないことが重要だが)


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すべての食にあてはまるのだが、たまたま一回食べたからとて、さして身体が変わるものではない。

 

ベジタブル・フォーキャスターは雑穀ライフに5つのルールを設けてみた。

1. プラスとマイナスの発想を持つ。

2. 無理なく続けること。

3. 良いものを選ぶ。

4. それぞれの特徴を知る。

5. まわりに押し付けない。

 

1. については重要だ。雑穀ご飯が良いからといって食べ過ぎればエネルギー過剰になる。雑穀スイーツなるものがあるが、これで健康を語る理論展開を誰か説明してくださらないだろうか。足りないものを補い、過剰なものを減らす・・・生活習慣病治療の基本である。雑穀の栄養価に過剰気味の糖をどっさり添付することはナンセンス。
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2. 毎日続けないと意味がない。最近の若い女性はご飯を炊かない。そこから問題。

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3. 雑穀の品質基準は緩い。発生するカビのなかには発ガン性が問題となるものもある。輸入品や保存状態の悪い雑穀には注意したほうが良いかもしれない。

4. とにかく沢山の雑穀がある。自分にどの雑穀が良いのかを知ろう。

5. 雑穀ごはんは苦手・・・という方も多い。まずは自分が雑穀を続けて結果をだせば、周囲は自然についてくる.

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高村先生と私・・・なんだか少し似ているような・・。岩手のDNAなのか。畑であっという間に45分が経過していた。

 

急速に増加する世界人口。随伴する食料問題に遺伝子組み換え食品がその存在を大きくする。

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高村先生の雑穀たちは「世界経済の混沌」とは遠いところで、今年も静かに太古から変わらない花で咲いていた。


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