医療で野菜を語る・・・そしてその後に

2010年11月13日 18:34

医療で野菜を語る
医師・シニア野菜ソムリエとして「医師会学術講演」の講師をつとめさせて頂いた。エビデンスに基づいて医療での野菜の位置づけを説明。そして科学的に説明する野菜の味、そして美味しさの追及。
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講演のメッセージは美しい日本と美味しい日本の食を後世に残すこと。日本の食の問題と健康状態の問題を丁寧に解決する道筋のその先には再創造された日本の食が見えてくる。

美食は美食。安くて悪いものを食べて健康を害している人が多い。食べる量ではなく中身の問題。理屈というものでは無く理論で語った。
寂れた街にコンビニ、パチンコ店、ラーメン屋だけ・・・心も寂れるだけ。美食を支えるのはそれを食す人びと。

その後、メッセージを携えたまま、お願いしていたワイン会の会場へ。
食材、シェフ、ソムリエ、場所、その空間で食する人びと。価値を十分に理解し合える方々がこの会のその先に何を生み出すのか?私は自身のもてるだけの力でそれらを思い切りたぐりよせてみた。
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ホテルメトロポリタン盛岡の狩野シェフと高橋シェフ。

お料理の腕前はもちろんのこと、以前にたきこまの会で農家さんと会話をする姿がとても優しさに満ち溢れていたのを記憶している。

私の味覚の信頼ベースは「人」。

そのシェフと岩手県の食材と、国内ワインのハーモニーが知りたかった。もしも・・・もしもだが平泉中尊寺が世界遺産に登録された時、世界でも通用する食が岩手にあって欲しい。あるはずだし、そうならばスポットライトをあてておきたい。
menu
岩手のワインをここで無理に合わせる必要は未だないと思う。長野ワインなら・・?忙しいマスターソムリエ高野氏に無理を承知でお願いしてみる。
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来て下さった。心意気。一流であればあるだけ懐が深い。
乾杯はトスティ・ロゼ

三陸産ムール貝と小海老のプルギニオン風。
そして塩尻メルロー・スパークリング:長野県塩尻市

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やわらかな潮騒、海草のちょっとした滑りとわずかなにがりを感じた後に発砲のさわやかさでコースのはじまり。

フォアグラのパルフェ彩り野菜と共に
シャートー・デュ・グランムエス・ロゼ2008(フランス・プルミエ・コート・ド・ボルドー)
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フォアグラを野菜と絡ませる。女性醸造家のロゼワインに似合いの美しい新鮮なメニュー。気持ちが高鳴ってきて、最初は言葉数の少なかった方々がなごやかになってくる。

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あいこトマトと小岩井卵のスープ

なかに野菜が意外と沢山浮いている。たまごとワインは合わせにくいとか。しかしトマトの風味が卵の存在をさほど感じさせない。

ソイと帆立貝のポワレ赤ワインバターソース
シャルドネ・バレル・ファーメンテーション・マスターソムリエセレクション(長野県塩尻市)
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ソイの皮のパリパリとユリ花芽・アスパラのちょっぴりの苦みが魚貝類の旨みにとも良い。そして皆さん白ワインに絶賛。

舘が森高原豚ロースのソテーチョリソー入りソース
井筒メルロー樽熟成2008
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ワインに酔いしれてメニュー写真を撮り忘れる。付け合せのお野菜が、それはそれは丁寧で美しく料理されていて、末梢の末梢まで心が行き届いているのに癒される。

ラ・フランスのムース、グリオットチェリーのソルベと
雅木花(みやびきばなマスター・ソムリエセレクション)2009(長野県長和町、山崎農園)
sweets

とどめ
雪解(ゆきげ)長野県長野市
焼酎なのです。

食は幸せになる手段。創造していくもの。混沌としたものが1つの方向性に向き始める。

ワインを披露するだけでなく会の話題、ムード・・細部に気持ちをいきわたらせ、会話の空間に相応しい言葉を静かに発する。ソムリエの真髄。だから今日はソムリエが必要だった。

初対面の方々と食とワインを共にする。何気ない「行事」ではあるが、出会いに私なりの思いを込めて、それを理解し支えてくださったメトロポリタンニューウイング・モントフレーブの方々、マスターソムリエ高野氏に心より感謝を申し上げたいと思います。

ごちそう様でした。今日も幸せです。