食と放射線被ばく Q&A

2011年4月30日 23:51

福島県在住のお母さんからの給食再開の心配に関しての質問。
いわき市の給食に福島産の牛乳と食材が使われると聞きました。
その理由としていわき市の市長さんは、「福島産の牛乳や食材は危険だという風評を払拭するため」
と言われたようです。

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お母さんがご心配されていること、心より共感いたします。自分の子供のために少しでも安全な場所、安心な場所でくらしたい、食べ物を選びたいという事は当たり前の気持ちです。

いわきの大気中の放射線量、これは外部被ばくにかかわります。モニタリングされており、ここに留まっても大丈夫と判断されているので避難勧告はだされていないのでしょう。原発からの放射線量はかなり減少しているでしょうから、海水への汚染水以外は日々減衰しているはずです。

土壌や水の放射能汚染はこちらもモニタリングされています。

放射線被ばくを1ミリシーベルトに抑える、これは平常時の管理目標で、こちらはかなり厳格な上限です。事故収束後の復旧期は1~20ミリシーベルト/年間に抑えるという基準ですので、現在はこの状況下であると言えます。

こういった基準はこれまでの事故や原爆後の膨大なデータからはじき出された基準値で、科学的な根拠に基づいています。放射線業務にたずさわる人々も基準に沿って(ただし一般の方がたより基準値設定が高い)安全に業務ができるようにされています。

科学には100%は存在しません。100%の安全はありません。しかし100%の安心は個々人の問題ですから、工夫次第では得られることができます。

子供の放射線への感受性は高いので、少しでも被ばくを少なくする、という事は間違いありません。ただこれまでの累積データを総合的に判断して現時点で健康被害がでる状況ではないので行政としての判断は間違いではないでしょう。

行政の判断と行動で間違いだった、というのは「給食を強要した」という事実だと思います(本当に強要したのでしょうか?)。かつてアレルギーの子供たちが「給食を残さないように」と指導したところ、アレルギー反応を起こす子供が出た場合の学校現場の対応が問題になりました。食育現場でよく問題あつかいされるのが「食の廃棄」です。給食を残してはいけない、と強要されていないはずです。

外部被ばくはそこに住む以上さけられませんが、食事、水などの内部被ばくは自己の選択によることにります。その選択肢について「話し合う」必要があるのです。いままで給食について話し合ったことがございますか?これまでも食育の点からかなり多くの問題を抱えていたはずです。

地産地消の栄養学的メリットは野菜の栄養価の消耗が最小限ですむことです。2-3日経過した野菜の栄養価は半分以下になっているといわれています。野菜摂取の減少もガン発症のリスク上昇としてはっきりしています。この1点だけみてもリスクと利益をはかりにかけて自身で判断されることだと思います。

お母さん、今、日本は有事です。いわきの人々が地元産の食にどのような判断をするか、どのような言動をとるかを日本中の方々が見ています。そして日本の国民がこの事態にどのような行動をとるか、世界中の人が見ています。

お母さんと私たちは状況がことなりますが、子供の未来のためにそれぞれの立場でベストな行動を選択していきましょう。なによりお母さんの幸せな笑顔が子供にとっての一番の安らぎです。

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