放射能を気にされる若い女性へ
2011年5月2日 17:00
「結婚して子供を産むという夢がある」「原発事故で住む所さえない。戦争の時よりひどいと言うお年寄りもいる」。福島県飯舘村と川俣町で30日開かれた東京電力の住民説明会。住民から原発事故への怒りや生活面での困窮を訴える声が相次いだ。
飯舘村の中学校の体育館フロアは、大勢の村民で埋め尽くされた。鼓紀男副社長ら東電幹部5人は返答する際に立ち上がる以外は、終始正座したままで質疑に応じた。
質問に立った高校1年生は「子供が産めない体になるのではないかと不安」と訴えた。東電側が「いろんな対策を取り、そうならないように努めています」と答えると、渡辺さんは「だったら、もっと早く避難を呼び掛けてほしかった」ときっぱり。参加者からは大きな拍手が起きた。
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若い女性の不安は良く解ります。本当に心配だと思います。
卵巣が機能しなくなるのでは?という不安、卵子の遺伝情報が傷つくのではないか?という不安。
卵巣が機能しなくなる、すなわち不妊は一時的不妊と永久不妊があって、いずれもしきい値が設定されています。1度にかなりの量の被ばくをしないかぎり問題ありません。
遺伝情報への影響はどんな状況でも「絶対安全」ということは無く、この観点からは「少しでも被ばくを避けるべき」という事は正論です。ただ言えることはこれまで医療現場で女性も通常業務し、ずっと追跡調査されていますが、奇形児の出産が多いとか、そのような事実は全くありません。
かつて「放射線科医の子供は女児が多い」という仮説で調査された先生がいらっしゃいましたが、まったくそのような事実はなく、一般と同じくごくわずかに男児の割合が多い、という結果になりました。
最近の不妊の傾向、出産の決意を比較的高齢になってから決断される方が多い、ということ。妊娠出産はやはり20歳代がベスト。一番きれいになる時期は繁殖のシーズン、というのはすべての哺乳類にあてはまるでしょう?高齢になるほど卵子も子宮も加齢が進むし遺伝子異常の発現も心配されます。
それからここは強調したいのですが、妊娠期のごく初期に葉酸が欠乏すると胎児奇形(神経管閉鎖不全)が生じます。卵子も子宮も妊娠の状況もベストでも、たった葉酸の欠乏一つでこのような不幸が・・・。中国、アメリカは一般的な食材にすこし入れられていて(行政の指導)、この胎児奇形は減少傾向です。しかし日本にはこの指導がなく、神経管閉鎖不全の胎児は全く減少していないのだそうです。
ですから質問された女子高校生さん、これからはバランスのとれた食事を心がけ、健康に留意されて病気で放射線検査を受ける事態を予防し、時期が来たら良い恋愛をして結婚して、大好きな人の子供を授かりましょう。
東電の「そうならないように・・・」は「これ以上の事故の拡大を防ぐ」ということ。
「そうなる前に避難すること」はこれからの日常生活に沢山潜んでいます。
この高校生にはこころから幸せになってほしいです。うちの娘と同じ年齢。こうして自分の意見をはっきり述べる彼女に敬意を。
ラベル: 放射線防御と食の基礎知識