食中毒 food poisoning も大問題・・だけど食と放射線防御の基礎知識
2011年5月6日 6:20
食中毒 food poisoning も大問題・・だけど食と放射線防御の基礎知識
これまでも食と安全を考える時
1. 栄養価
2. 細菌などバクテリア
3. 重金属
4. 農薬
5. 食品添加物
などを考慮してきました。今後は
6. 放射能汚染
についても知っておく必要があります。
ユッケを食べて命をとられるなんて・・・毒をもられたようなものです。でも生食の場合、鶏肉などはかなり厳格に扱っているはずなのですが、牛肉は?レア大丈夫、なんて少し気が緩んでいたかも?
ここでは放射線の基礎知識を説明します。
放射線は身近な存在で、自然界にもともと存在する自然放射線(宇宙、大地、ラドン、食物から)人間が作り出した人工放射線(病院のX線検査や原子力発電所など)があります。
放射能とは、原子核が放射線を出す能力のことで、放射線とは、原子核から放出される電磁波や高速の粒子のことです。
α線、β線、γ線が身近なものでγ線はX線と考えてください。
放射線の性質
1. 透過作用
2. 写真作用
3. 蛍光作用
4. 電離作用
5. 生物学的作用:細胞(特に遺伝子)に傷をつけ生体に影響を及ぼします。
放射線の人間への影響
放射線を受けた身体自体への影響と子孫に対する遺伝的影響がある。
遺伝的影響とガンは被ばくした放射線の量の増加とともに発症確率が増加します。少ない量の被ばくでも影響が生じる場合もある、ということです。
一方その他の身体への影響として放射線の強さによって臓器障害の程度が異なります。ある一定値までは放射線によって生じた影響が自然回復をするので問題になりませんが、その値を越すと傷害の程度は放射線の強さに比例します。
累積線量100ミリシーベルト以下なら健康への影響はないと言われています。
放射能の単位
放射能:Bq(ベクレル)→水や野菜、牛乳などの放射線量を表す時に使用
吸収線量:Gy(グレイ)放射線が人や物に当たった時にどれくらいのエネルギーを与えたのかを表す単位。がん治療の線量10Gyなどと表現します。
線量:Sv(シーベルト)放射能が人に対してがんや遺伝的影響のリスクをどれぐらい与えるのかを評価するための単位です。
牛乳300Bq/リットルを1日200cc、1か月のみ続けると0.04mSvの被ばく、という表現をします。
0.1Gyと100mSvはほぼ同じレベルと考えてください。
外部被ばくと内部被ばく
[外部被ばく]
自然界からうける放射線と最近では原発事故で大気中あるいは土壌に飛散した放射性物質からの被ばくをいいます。日本では1人あたりの自然放射線は年間1.5mSv、世界平均では年間2.4mSvです。飛行機に乗ると東京―ニューヨーク間往復で0.1mSv被ばくします。
日常に、ごくありふれた放射線ですが、原子力発電所の事故による放射性物質の漏えいの問題を追加しておく必要があります。事故後3月15日―23日にかけて福島県外でも1.0マイクロシーベルト毎時(マイクロはmミリの1/1000)カウントされましたが一時的でした。岩手県では現時点で影響はありません。
[内部被ばく]
食べ物、飲み物に付着した放射性物質を体内に取り込んだ時に身体の内部から被ばくすることを内部被ばくといいます。普通の食物もごく微量の放射線を持ち年間0.3mSv体内に取り込まれています。
今回、原発で大気中に飛散したり土壌にしみこんだ放射性物質、そして事故処理後汚染水として海洋に放流された放射性物質は自然界を循環しますが、放射性物質は日々減衰しますの。ただし半減期(放射線の力が半分になる時間)が長いものがあるので、こちらはこれまで通り日々モニタリングされ報告されていくことになります。
放射線防御に関する国際的な取り決めは国際放射線防御委員会(ICRP)で執り行われています。これに則りさらに国内法として日本の放射線防御の指針が決められています。ICRP2007年の勧告では非常時の放射線の管理基準は平常時とは異なる基準を用います。
1) 平常時:年間1ミリシーベルト以下に抑える。
2) 緊急事態期:事故による被ばく量が20~100ミリシーベルトを超えないようにする。
3) 事故収束後の復旧期:年間1~20ミリシーベルトを超えないようにする。
よって現在の福島第一原発の状況は2)の事故収束後の復旧期にあたります。1日も早く年間1ミリシーベルト以下にしなければなりません。
外部被ばくに関しては、戸外の放射線の積算量(日々カウントして期間内の放射線量を計算する)は原子力安全委員会が試算しています。岩手県ではこれまで変化はないようです。
内部被ばくに関しては食品や水に暫定基準が設けられます。国によって若干の基準値の違いがあります。いずれもかなり厳格な数値で、基準値以下の野菜であれば、一生食べ続けても健康被害は生じません。
受ける放射線量(マイクロシーベルト)=実行線量係数(子供は数値が高い)X放射能濃度(ベクレル/Kg)X飲食した量(kg)
つまり水1kgあたりにヨウ素-131が8.59Bq(ベクレル)、セシウム-137が0.45Bq含まれていると仮定し、その水を1日1.65リットル29日間飲んだ場合、放射性物質から受ける放射線量は
ヨウ素-131:0.22(成人)X 8.59 X 1.65 X 29=9.0 マイクロシーベルト
セシウム-134:0.013(成人) X 0.45 X 1.65 X 29-0.28 マイクロシーベルト
合計9.25マイクロシーベルトとなります。
ミリmSvとマイクロ(μ)シーベルトは桁が違います。
ただし乳児や子供は放射性感受性がたかく、遺伝情報への影響が完全に否定できていない以上は、少しでも放射線を防御したほうがベストです。
放射性物質は放射能がどれだけか、ということ以外に体内に入り込んだ時の動きが解っているものと不明なものがあります。半減期が長い物質が長期間体内にとどまると、日々減衰しますが内部で被ばくする期間も長くなります。
ヨウ素131、甲状腺ホルモンの材料であるヨードと同じ動きをします。甲状腺にとりこまれる傾向があります。
セシウム:カリウムと同じ動きをするといわれています。体外への排泄も早いと言われています。
ストロンチウム、プルトニウム:骨にとりこまれるといわれています。
同じ放射線量の被ばくでも長期間にわたって被ばくするのと、短時間に大量の被ばくをするほうが放射線の影響が少ないと言われています。現時点では事故後の放射線被ばくによるがんリスク上昇は心配されていません。それでも放射線の生物学的な影響は完全に解明されていないので少しでも被ばく量は少なくするように努力するということが常識です。
不妊はかなり大量の被ばくをしないとおこりません。
がんリスクは放射線被ばく以外の影響の方が大きいようです。
例えば野菜不足の発ガンリスク上昇1.06倍
100~200ミリシーベルト被ばく 1.08
運動不足 1.19
肥満 1.22
2000ミリシーベルトの被ばく 1.6
喫煙、毎日3合以上の飲酒 1.6
ガンは様々な因子が複雑に絡まりあって発症します。健康に留意しなければならいことは放射線よりもそのほか沢山あります。それから昨年、熱中症で亡くなられた方も多かったので、電力不足の今年の夏はいろいろと対策が必要なようです。生き延びるのはいつの時代も困難を極めます。
ラベル: 放射線防御と食の基礎知識