いぶりがっこ・・感じるその価値

2011年10月26日 20:57

秋田県横手市に、その「いぶりがっこ」の家はある。がっこ(雅香)は漬物のことである。

スモークしてから漬け込む。漬物が工場で大量生産され加工品として量販店にならぶようになると、「いぶりがっこ」の存在が一時期あやうくなったことがある。

しかし家族に美味しい「いぶりがっこ」を食べさせたい、という麗子ばあさんの一心からつくり続けたここの「いぶりがっこ」は、第1回いぶりんぴっく(2007)金賞という評価をいただいた輝かしい経歴がある。たいていその賞にあやかり、大量生産してみたくなるのものだが、こちらでは以前からの製法で無理のない生産量を維持している。


全て手作業。」干し理想、という大根:硬くて辛い、そしてあまり大きくないサイズが漬物となったときに手頃なのだそうだ。

それから横手市山内の伝統野菜、にんじん。昔ながらの、にんじんくささ、固さ、味を持つ。これが人参、という風格を感じる。

いぶりがっこのための野菜。決して規格外の野菜を寄せ集めたのではない。

縄で編み上げて吊るして燻す

いぶしたあとの大根。


つけこむ。玄米とザラメとそれから唐辛子を少々。

数か月たつと発酵して水がでてくる。

やはり白いごはんに合う。秋田は米どころ。レストランでもビジネスホテルの朝食でも秋田はご飯が美味しい。美味しいのが日常。

スーパーには袋入りの漬物が陳列されているけれど賞味期限やら冷蔵やら漬物の環境もずいぶん変わったものだ。本来、漬物に冷蔵庫はいらない。塩分を抑えると保存が難しいので致し方ないが、その分、添加物や人工甘味料を使用されると、また別の健康への影響が問題となる。なにしろ美味しくない。

漬物は食品加工技術であり、食味の向上であったり、保存期間の延長だったりと、目的は多々あるが、気温や湿度などの環境と発酵が素材とうまく調和して美味しく芸術的な製品が出来上がる。その工程には一定の時間が必要。その製造工程を省いたり、味の体裁をととのえるための食品添加物使用・・・そういった漬物は美食の候補にはあげられない。


ここにきて、きれいな場所と燻っている煙を見たならば、これが真のグルマンの美食の追及、そして購入し支持し続けることが一流人生と感じてしまうのだ。

秋田にはこうした発酵伝統食文化が受け継がれ、そこに新たな食文化が付随しはじめている。


麗子ばあさんの働く姿は、それは生き生きと、そして艶やかであった。日ごろ、この年代の方々が車いすで受診し、「痛い、眠れない、死にたい・・・」と連発されるのを聞くのが仕事の一部のわが身・・・麗子ばあさんこそが真の「秋田美人」、そう確信したのである。

いぶりがっこの購入は秋田ふるさと村、道の駅さんない、道の駅十文字

ネット販売は
http://www.umai-mon.com/user/scripts/p_product.php?product_id=21440

でどうぞ。

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