日本食文化世界遺産登録へむけての動き

2012年5月22日 22:36

日本食は美味しく、日本は美しく、日本人は勤勉で素晴らしい。震災後、日本国民は一流、日本の官僚は二流、政治家は三流、などと酷評されたこともあった。



さておき、日本食は広く世界へ認知されてきているが、実は日本食の定義は曖昧だ。寿司、天ぷら、鰻・・・伝統的日本食ではない。しかも健康に良いとされていながら、日本人の健康状態は良くはない。寿命は長いが、その寿命を長くするために、かなり濃厚な医療が施されている。しかも日本人の主体的健康観は低いし幸福度も低いし、よって私の見方としては、日本人は健康ではないと思っている。



発酵が基本の味噌、醤油もきちんとした製造工程を踏んでいないし、野菜も品種改良を重ね、伝統野菜は一時期その存続が危うくなった。



雑穀やじゅんさいは輸入物が9割を占めている。日本の食料自給率は41%だ。



日本人が日本食を手放してしまったのである。



では伝統的日本食とは何か?それは各地に伝承される食、すなわちその地域で栽培・捕獲され、あるもので工夫して料理された日常食・行事食である。その基本には「労働」がある。その一連の流れがあって日本食は健康的、とされるのだ。よくアメリカの肥満は桁違い、と比較されるが、アメリカだってカントリーフードは質素でそれなりに健康的だ。国民全員がピザやポップコーンを食べているわけでは無い。



今回のシンポジウム、震災後の日本を食から元気にしよう!という流れがあったらしい。





立役者は青森県選出の衆議院議員・農林水産大臣政務官の田名部匡代氏。




基調講演は青山学院大学教授の榊原英資氏。



ユネスコへの申請では和食という料理そのものではなく、自然を尊ぶ、という日本人の気質に基づいた「食」に関する習わしと位置づけているそうだ。

特徴

1)多様で新鮮な食材と素材の味わいを活用

2)バランスがよく健康的な食生活

3)自然の美しさの表現

4)年中行事とのかかわり



簡単に並べているが、なんと課題が満載の事か。



今回のシンポジストは終始、食育の話し。ちょっと聞き飽きた内容でもあった。内部でもまだまだ熟していないようだ。ユネスコは登録に際し、誰かが経済的に潤ったりするような内容は拒絶されるそうだから、最初としてはこの内容でやむなし、か。



しかし味噌、醤油、日本酒・・・・きちんと定義されたこれらの食材こそが日本食の基本であり、そこに経済の流れが出来てはじめて継承される基盤になるのだ。きれいごとは言っていられない。うまく立ち振る舞うべきである。



野菜にしても伝統野菜は経済的な流れに乗らないものは廃れ消えていく。地方の味噌醤油会社は低価格競争に苦戦を強いられている。



そして日本食は健康的。本当にそうだろうか?伝統的地中海食はエビデンスを持つ。日本食は?だれも証明していない。健康なのは80歳前後の高齢者。肉体労働を基本に質素な食事で長年暮らしてきた。文化を語るのにも科学の検証が必要と強く思う。アピール不足は日本人の良さ、なんて流暢なことはいっていられない。



日本も「稼いで」激動の世界経済の中で生きながらえなければならない。高齢化日本が「稼げる領域」はごく限られている。