ガルギール

2012年6月16日 20:25

それはルッコラ(イタリア)あるいはロケット(アメリカ)よりもはるか昔から存在した葉野菜のエジプト由来のネーミングである。





地中海沿岸原産の説と モロヘイヤと同じくエジプト原産の説がありますが、ピラミッド建設の時代からあったようです。



岩手県奥州市衣川地区。米どころで夜は星の美しい地域、世界遺産平泉に、ほど近い場所にあります。



衣川育ちのエジプト野菜は、199512月、合併前の佐々木秀康衣川村長の実弟である佐々木良昭拓殖大学教授から種を預かったことから誕生したらしいのです。栽培を農協に委託し、農協は8戸の農家に生産を委託した。委託を受けた農家は、ガルギール研究会を発足し、同年に試験栽培をスタートさせました。最初は、気候風土が全く違うエジプト野菜が本当に育つかどうかも解らないまま、10平米からスタートし、順調に展開、翌1996年は3,000平米、1997年は5,000平米に作付面積を増加したということです。



佐々木秀康衣川村長は地域医療に大変理解のある方で、国保衣川診療所の一角に村長のたっての願いで出来た足裏刺激の小道があるのです。これはなかなかユニークで一見の価値ありですよ。



縁あって衣川診療所の非常勤を2年くらいさせていただきましたが、この地域、以前、東洋医学の先生がいらしたことがあり、食と健康についての習慣が色濃くのこっています。シソエゴマの産地でもあり、またガルギールとならんでモロヘイヤなども普通に栽培され、食卓に登場します。


カルシュウムはほうれん草の4倍 牛乳の2.5倍 ビタミンCはイチゴの1.5倍も含まれています。もちろんアブラナ科野菜に特徴のイソチオシアネートもたっぷり、女性に欠かせない葉酸も。



衣川診療所の仕事はとても楽でした。住民の方々の健康に対する意識の違い、前任の先生が素晴らしい方々でしたので、医師が尊敬されているのです。これは何物にも代えがたい事です。



このガルギールを特産にしようと以前から頑張っているのが古都の遊食。

http://www.sanchoku-iwate.com/pc/contents/shop/f4_80.htm



こちらにはツタン乾麺シリーズでガルギールとモロヘイヤの麺を売り出しています。店頭には生麺も売られていて、とてもきれいなグリーンをしていました。



その他ハトムギ茶なども販売。食と健康、今こそ衣川地区の食材が世に出る時なのです。




生産者の佐々木さん。ご自宅の隣に古い蔵がありまして農家としての歴史を感じさせます。私の感想ですが、衣川村の時はコンパクトにまとまり、行政が隅々までいきわたり、まさしく自治を感じたものです。しかし奥州市として再スタートしてからでしょうか、人々の気持ちが散漫になったような気がしてなりません。奥州市衣川地区の行政担当者にガルギールの問い合わせをしても、古都の遊食に情報を求めるありさま、かつてと全く雰囲気が変わってしまいました。



他の伝統野菜同様、生産者も平均80歳くらいと高齢、このままガルギールはじめ健康農産物が廃れてしまうのは地域としても宝の損失だと思うのです。