奇跡の黒酢

2010年9月27日 18:30

最近アンチエイジング世代に「お酢」がブームになり、本物探しが楽しいベジタブル・フォーキャスターは、くろず発祥地、鹿児島県福山町を訪ねた。


くろずの箱に下記の記載。http://www.kurozuya.co.jp/

くろずの里・福山町で造られている「純玄米黒酢」は文政年間より約200年以上受け継がれている古法醸造で玄米を用い、恵まれたミネラルと水と酢づくりに適した福山町の気候風土により、屋外にて、かめ壷の中で1年以上発酵熟成させた美味しい食酢です。

この言葉通り。気温・湿度・風・日照時間・・・この福山だからこそ、この製法が成り立つ。


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向こうに桜島を臨む。ヒトがいて心地よい場所。醸造菌も「健康な発酵」をしている。



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かめ壷。


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玄米。


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大事な「菌」。水を注ぐ・・・胞子が舞う。

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数ヵ月後には「膜」がはる。この状況で発酵プロセスの良し悪しがはっきり解るとか。

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攪拌作業の女性たちがやさしく、やさしくかき混ぜます。表情がとっても良く、壷の中のお酢も幸せ。

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4年ものはまさに神秘的な色です。

tasting

味は、お酢の領域をはるかに超え、これだけでご飯が食べられるくらいの「食」です。ワインなどの醸造酒と同じ?、いえ、ここまで自然環境と一体となった醸造は、まさしく「奇跡」・・・。

味わう・・・。酸っぱいだけの「酢」に慣れている私は、その規定概念をぬぐうまで感性が少々混乱。

酸っぱぁい!の前の味の広がりが、生まれて始めての世界なのでした。

 

「美味しい食酢」そしてベジタブル・フォーキャスターが提案する、くろず健康・美容メソッド。

・・・次回に続きます。

 

南種子(みなみたねが)の赤米~意外なところで出会えたウエルネス・ライス

2010年9月25日 18:30

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聞くところによると北種子は白米、南種子は赤米伝来の歴史があるという。

 

種子島の伝統食は?案内の方は即答できないでいた。

 

そういえば解らないねぇ。

 

恵まれた海の幸、蒔けば収穫できる恵まれた気候。

 

逆に北国は収穫物を保管し冬の時期はその蓄えを工夫して少しでも美味しく食べようという文化があった。南の国はそういった意味での食文化発達がなかったのかもしれない。

 

東北では食生活改善推進委員の存在が大きい。東北では雑穀の一つとして赤米を食すが、これは最近の傾向で、伝統的雑穀生活ではない。

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赤米歴史観の向かいに宝満神社。縁起が良い。田植えの時期には古くから伝わる儀式が執り行われる。


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常食してきたかの様な印象だったが、民俗資料誌を購入する。赤米は少なくてもここ120年くらいはお祭りのときの食物のようだ。赤飯(白米に小豆)は別に存在するという。雑穀もわずかだが食されていたようだ。


 

歴史館の模型


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おにぎり


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おにしめ


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正月のお供え。

 


伝統食では無いが伝承したい、さらに食文化として再創造したい南種子の食である。


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赤米を購入し自分なりに再現してみた。余計なお世話だとは思うが、ラベルに食の効能として記載するのは良くない。


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白米と混ぜて炊くのが普通らしいが今回は全部赤米でおにぎり。

玄米を炊く加減で。食感は玄米そのもの。

 

お祭りのビデオが放映されていたが、それはまさしく日本文化。近年まれに見るイベント性の低い、祈りが主体の儀式だった。ちょっと感動した。


poster

本物の安納イモを求めて・・種子島安納地域へ向かう

2010年9月20日 18:30


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安納イモは元来、種子島安納地区の在来種を品種改良して出来たサツマイモであると聞く。美しいオレンジ色がかった黄色と、しつこさのない、粉っぽさの無深い甘み。紫イモの次に、にわかにブームとなり登場したサツマイモである。



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種子島以外でも栽培は広まり、なにやら種子島を含む鹿児島県一帯で栽培されているサツマイモという認識となった。供給量も多くなり、空港売店その他ネット、通信販売、いたるところで手に入る。 農作物の運命なのだが、その性質上、人気が出るとその種や苗は一斉に売れ、栽培農家も多くなる。残念ながら栽培農家や栽培地によっては、その本来の味や個性をなくしてしまう。というより美味しくなくなる、といったほうが正しいだろう。大多数がそのような道を辿り、本家本元の信頼まで損ねる結果となる。さつま芋は頑丈作物なので植えればとりあえず作物は収穫できる。


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紹介された農家、山田さんは安納地区で古くから安納イモを栽培する。高台から眺める安納地区は美しく、その先には海が広がる。

 

山田さんの畑には収穫の時期には未だ収穫には早すぎるという安納イモが、今まさしく太陽光をでんぷんに「エネルギー変換」されてじっくりじっくり地下茎に流れ込んでいるのが見えてくる様である。


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sweet potato


どんなに美味しい農作物とて、これまでの流通のしくみに乗れば「共選」という、「外観、大きさ」だけで選択され「平等」に同じ箱に収まり、流通にまわる。

 

「やきいも」などの一次農産物加工品はその農作物の背景・出来栄えが品質や商品イメージにダイレクトに結びつく。山田さんの安納イモは選ばれたサツマイモとしてお菓子会社に買い取られ、他の安納イモよりは評価された道を歩んでいるかのように見える。

 

ここに全国一斉の問題が浮かび上がる。流通システム仲介者は、売れる農作物を一斉に集め売りさばくことで利益を生み出す。売れるイコール良質・美味しい、ということでもない(と感じている)。そして売れるから買値を高くする、というしくみでもない。山田さんのような優秀で選ばれた農家(ダイレクトに売り場を持つ農家)にはおとなしくして欲しいのだ。おとなしく、というのは「看板」だけ出して目だっていて欲しい、ということだ。安納地区の他の農家さんには「共選」されるレギュラーな安納イモを生産して欲しい。その「欲しい」がforceとなる。安納地区の美しい光景が商品価値全体を高くするから。



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その事はベジタブル・フォーキャスターの感心ごとでは無い。問題は真の安納イモを
筋を通して美味しいと伝えたいだけだ。

 

さてすでに空港売店やお土産屋さんには安納イモが陳列販売されていた。山田さん曰く「きちんと糖度が乗ってからでなければ出荷などできない」と語る。種子島安納地区の農家さんが美味しいサツマイモを生産し正当な収入を得て、また来年もその次の年も美味しいサツマイモを生産できる。その農家さんたちの幸せに満ちた表情が地域を美しくし、さらに農作物の商品価値が上がる。それを願うのはごくあたり前の感情ではないか。

 

これから出回る安納イモ。目の前の商品は本当に安納地区の安納イモなのか?確認する手段は限られている。

 

産地として、品質に対するこだわり・責任、そしてそれを表現、管理していく方法は「長野のぼたんこしょう」がフロント・ランナーだ。

 

種子島、民宿珊瑚礁・・・夕食会場での「おやじ」な会話

2010年9月19日 18:29

空港でレンタカーに乗り換え種子島西之表へ。紹介されてお会いした種子、屋久ジャーナルの上野氏にお会いする。初対面だったが環境問題、農業問題・・・安納芋を掘りに来ただけの私は、その安納芋にまつわる意外な情報を聞くこととなる。

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さらにレンタカーで北上、民宿珊瑚礁に到着する。車から降りるなり男の子が声をかけてきた。地元の言葉で挨拶してくれた(らしい)。

 

桜島だいこん蒔きの後の汗を「五右衛門風呂」で流す。丁度夕日。オレンジ色の太陽が水平線と重なる雲にポトリと落ちるのをスダレ越し眺める。隣のオフロからカップルの仲むつまじい会話が聞こえる。


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夕食会場は居酒屋。まずはお通し糸瓜の煮物。すぐに新鮮なお刺身が運ばれる。となりのサーファーおやじ(同年代だが、失礼、この言葉を使用させて)が焼酎「甘露」を勧めてくれる。遠慮なくいただく。

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小魚の蒸し物。添えられたかんきつ類。おとなりサーファー親父はこの島にスダチとカボス1本だけを植樹したのだそう。自分が来たときくらいは地元産のかんきつ類で焼酎を飲みたいのだとか。


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そして伊勢エビ。生と焼き。生の甲羅部分は後ほど味噌汁で再登場。


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野菜と魚介類の蒸し物。塩、こしょう、にんにくだけで味付け。多い!!しかし同行者の30代前半の人間の食べっぷりにつられ、シンプルながら素材感を追っていくうちに完食。


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「亀の手」を進められる。岩にへばりついている貝なのだが、どう見ても爬虫類。マスター河口氏の解析だと「カニの進化前みたいなもの」。味は貝の味だが実に濃厚。

 

マスターが向かいの席に着く。同伴者は先ほどの上野氏に呼ばれたとかでいつの間にか消えていた。種子島の魅力を語るうちにマスターは、種子島の農業のために土壌の研究改良を研究者とともに行っている、と話してくれた。

 

川の無い島。どうやってこれまで土壌に肥料を与えたのか?島周囲に海草が増殖する時期があり、ブリ、カンパチが産卵し孵化した小魚がその海草に群れるとき、海草を刈り取り、土壌に投入していたのだそうだ。

 

種子島になぜ来たの?他の離島には行ったの?屋久島は行かないの?

 

安納芋を掘るために来ました。

 

みな不思議な顔をする。

 

最近の若い男性は女性も口説けませんねぇ。

 

そうだなぁ。でもおれは口説けるよ。おねいさん、ぺっぴんやねぇ~。

 

一同、いけてる!いけてる!

 

しあげの味噌汁が出てきた。


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みんなで写真。サーファー親父の一人は「魂を抜かれる」と参列せず。

 



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お隣の部屋を確保している同行者はまだ帰っていない。せんべい布団に眠る。枕が昭和40年代だ。

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翌朝のごはんは釜炊きでした。

今日もがんばります。

 

野菜王コミュニケーション:食べる?食べない?

2010年9月16日 18:28

ゴーヤはにがい。だが辛抱していると甘くなる。


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庭のゴーヤが完熟して黄色くなった。種の周りは赤く甘い。動物に食べて欲しい!のサインだ。

 

周囲の女の子が急に赤のものを身につけたら、やはり食べて欲しいのサインかも。


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トウガラシはからい。完熟して赤くなっても辛いまま。

 

トウガラシの辛さは痛覚なので、最初ちょっとかじってみて「熱い」と感じたら、こちらの赤は、手を出す前によく考えてから思いを遂げてください。

 

「にがい」は苦い。くるしい、とも読める。

「からい」は辛い。つらい、とも読める。

 

いろいろあって、人生です。

 

絹かわなす・たかきび:ハイレベルなワインの世界とともに

2010年9月14日 18:15

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二つとも日本の食文化の歴史に綴られる貴重な作物。長野県の八重原米とご一緒し、ワインの五線譜でハイレベルなquartet.

 

岩手県二戸市高村英世氏のたかきび。ホールでも粉でも様々な料理に利用できます。今回は食材としてのご提案。


chef


東京南青山アトリエ・ド・フロマージュの岩シェフ、農産物の魅力をさりげなくチーズで引き立てる天才的料理技法。そこにマスターソムリエ高野氏、原始~高次脳機能まで連続する鋭い感性で選んだワインの数々。しかも肩にチカラが入っていないので心地良いこと、この上ない。

 

愛媛県西条市の絹かわなす。当初は西条市のジュニア野菜ソムリエ池田さんが紹介することになっていた。


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しかし負傷。


ベジタブル・フォーキャスターが岩手の高村氏の「たかきび」と愛媛県西条市の「絹かわなす」を紹介させていただいた。

 

そのあとは席について、今日は写真家と同伴でお料理の写真はおまかせの幸せモード。

富良野ソレイユで乾杯

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egg plants

絹かわなすの5種前菜

これだけで今日の食材のお題目を果たしてしまっているかの料理の技法と味の広がり。前菜などと言うものでは無い。野菜の中で一番ナスが好きな私だが、生、蒸す、焼く、ペースト・・世界中の何処でも、なすをこのような一皿で表現されたことは無いであろう。チーズは調味料。砂肝やラスク、ルッコラとの周波数が計算済みで、ほんのちょっとだけの外れるのだが、実はワインがお座布団を敷いて待っている。この一瞬に感謝し、731日に飛行機で愛媛に向かった時抱いていた絹かわなすへの思いが駆け巡る。絹かわなすのブログ参照。


http://yasaioh.digital-dime.net/archives/1428750.html

グレイス甲州

名前の通りの透明感。


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八重原米とたかきびのチーズリゾット

ホールのたかきびのプチプチ感とお米のリゾットのプチプチが異なった食感をかもします。しかもかみしめるとそれぞれの味の違いが口腔内に広がります。リゾットなのにじっくりじっくり噛んでしまう。


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安曇野竜眼シュルリーの「ぶどうの違い」。解ったような解らないような。レベルが高く、ついていけない・・・という思いはあるが、少しも気後れしない。背景のぶどう生産者が感じられるから・・・。


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信州サーモンのヴァポーレたかきび入り野菜のビグネット

たかきびが宝石の様に思える。


salmon


シャブリ・グルミクリュ・ヴァルミュウル2007

駒ケ原平沢畑2009


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信州ハーブ鶏ノトマト煮・たかきびポレンタ添え

ペーストの「たかきび」が素朴と思いきや、チキンの僅かばかりの幼なさを妖艶な女性に変えてしまった・・という感じ。

 

羆の晩酌2006

カルベネ・ギャニスチ2005

山葡萄の渋みのある酸味が妖艶さに少し爽やかさを与えてくれました。


cheese

チーズを三種:カマンベール・ブルー・山のチーズ

シャトー・マトラー2003:このワインは凄い・・・というと生意気に思われる。お高いワインの自己主張に溢れているので「はいそうですか」と頷くだけに。チーズとの正統派取り合わせ。


sweets

八重原米とマスカルポーネのズコットナガノパープル添え

キリアン・アイスワイン・セミヨン2005

多糖類から単糖類までリッチな炭水化物の甘さに対抗するだけの糖度が高いアイス・ワイン。今回も茎の味がしました。

 

食は幸せになるための手段。これは4年前からの持論。

 

こうして素晴らしい日本の食材を「きちんとお料理」し、「醸造というプロセスを踏んだお酒」とともに頂く。その食を皆さんで共有するひと時。時代は変わっても実は普遍的な事。意外と忘れ去られている。人びとは交わらなくなり、煩わしさを避ける。


god


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紹介した岩手県二戸市高村氏の雑穀。「神の雑穀」のネーミングについては、いつかブログに綴りたいと思っています。