雪の下白菜

2011年12月28日 20:58

こうして雪に埋もれていても白菜は生きていて




根っこは大地にこんなに深く入り込んでいます。



味は濃縮され、かつ細胞壁が柔らかくなっているので、いつもとは違った白菜の味わいを楽しめます。ただしこういった白菜は流通しておらず、農家さんが自家用で取り置きしているのが現実。消費者には遠い存在なのです。



さて、じっと耐える事、震災から9か月が経過して、人々の心はどうなのかふりかえってみます。

·        被災地の地域における心理的経過の理解

1)茫然自失期(災害直後)

  驚愕、恐怖体験のため無感覚、感情の欠如、茫然自失の状態となる。自身や家族・近隣の人々の命や財産を守るために、危険をかえりみず行動的となる。

2)ハネムーン期

 劇的な災害の体験を共有し、くぐり抜けてきたことで、災害者同士が強い連帯感で結ばれる。援助に希望を託しつつ、がれきや残骸を片づけ助け合う。被災地全体が暖かいムードに包まれる。

ここまでが三か月

3)幻滅期 : 4か月から1年

 被災者の忍耐が限界に達し、援助の遅れや行政の失策への不満が噴き出す。人々はやり場のない怒りにかられ、けんか等のトラブルも起こりやすくなる。飲酒問題も出現。被災者は自分の生活の再建と個人的な問題の解決に追われるため、地域の連帯感は失われる場合もある。

最近の現状、なにか社会に焦りとかいらいら感がわきだしはじめています。無理に車で右折してきて、どうしてそこにお前がいるのだ!とつっかかる若者。お前は気に入らない!と平気で言う患者さん・・・。被災地でなくてもこのイライラ感・・。

4)再建期: 1年後以降

 被災地に「日常」が戻り始め、被災者も生活の立て直しへの勇気を得る。フラッシュバックは起こりえるが徐々に回復していく。ただし、復興から取り残されたり精神的支えを失った人には、ストレスの多い生活が続く。

再建は1年後以降と言われています。寒い冬ですがとにかく1年、あと三か月、希望を持ちなんとか乗り越えて下さい。支援の方々も継続をよろしくお願いします。


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日本カボチャ:南部一郎

2011年12月24日 16:16

ホクホクした西洋かぼちゃが日本の食卓のほとんどを占めていた時期があった。ニュージランドやメキシコからの輸入品が多く、日本の農家は価格で太刀打ちできませんでした。




日本カボチャの万次郎かぼちゃ、鶴首かぼちゃは高地の朝市で見かけた。万次郎かぼちゃは熊本での栽培農家さんを訪ねたことがある。



いすれも粉っぽくなくすっきりとした甘さが特徴である。煮崩れもしにくい。糖度が16くらいと果物以上になるものもあるようです。



南部一郎は岩手の高校教師が鶴首かぼちゃを品種改良したものという。昨年は佐々恵農園の南部一郎をワイン会で紹介しました。


先日の高校食育講演のあと立ち寄った産直で久しぶりに出会い購入。



子供むけメニュー、炊き込みミルクご飯、ポタージュ。この南部一郎はかなり甘いので塩、コショウだけでも十分に味わい深いお料理が出来ます。コクをのぞむのでしたらチキンや野菜のスープストックを使用すればいいと思います。



以前、種子島で鶴首かぼちゃを見つけて持ちかえりましたなら、完熟もキュアリング(貯蔵しねかせて炭水化物が変化するのを待つ)もしておらず、かなり不味いものでした。形だけ見て購入すると失敗するかもしれません。



それにしても日本の野菜、どこまで甘くなるのでしょうか・・・?

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12月のワイン会:秋田県湯沢市のセリと雫石黒千石

2011年12月18日 21:46

今年最後のワイン会、お一人様参加でワインを飲みながら今年を省みた。





マスターソムリエ高野氏のシャンパン・サベラージュで忘年会気分に華やぎ。



ヴァイオインの松原さんは大きく成長し、12月の曲のアヴェ・マリアはすべての人の感情を愛にかえる。



岩シェフは不在だったが南青山店のシェフはとても成長していた。



今回のお題目食材は、秋田県湯沢市三関の芹、それから岩手県雫石町、創作農園の雫石黒千石。優れた農作物は優れた栽培技術を生産者による、それが一流、と説明を加えた。





秋田産セリと貝類のインサラータ

秋田の食材の素晴らしさを再認識し、山菜、いぶり大根・にんじんを今年のワイン会テーマにお願いした。今回のセリは野菜王ブログのスタートでも登場した私にとって意味深い野菜。美しい自然環境と美味しい野菜。私が追い求める理想の野菜である。

自己主張せずに他の野菜や赤貝、ホッキ貝、アオヤギと重なり合っている。スパークリングワインと始まりのメニューは爽やか。



雫石黒千石とカーボロネロのリゾット

岩手県雫石町、雫石創作農園の小さめ黒豆。小さいから味が濃縮。丹波黒豆より料理人の評価が高いのです。参加者の美味しい!が会場から多数あがる。




魚介と冬野菜のスープ煮

これは私が好みのメニュー。旨みがやわらかくスープ煮溶け込んで、野菜の素の味わいが自然にハーモニーを奏で・・ヴィバルディ四季の冬が流れてくるよう。




1999年の白ワイン。白は10年経つとボトルごとに味が変化するのだそう。私のボトルは甘さと爽やかさがあったけど、アルコールそのものは少し変化して別の成分になっちゃったかな?そんな感じでしたが、私の今の心身には心地よかったな。

    

信州ハーブ鶏のジャンボネット

鶏をハーブなどで包み焼きにしたメニュー。淡白な鶏料理ですが、雫石黒千石の付け合せソースがボリュームとコクを支えます。



チーズを3種(高原のナチュラルブルー・カマンベール・山のチーズ)




生チーズのタルト 雫石黒千石のソース

マズカルポーネのエスプーマ ティラミス風 コーヒー



モランド・アスティ・スプマンテ[原産国:イタリア、ピエモンエ州]

バロンド・ド・ブルバン・ブリュット・ロゼ[原産国:フランス、プロヴァンス地方]

シャトー・ラ・プチ・シャルドンヌ1999[原産国:フランス、ボルドー地方、フライ地区]

シャトー・デュ・テルトル2008[原産国:フランス、ボルドー地方、メドック地区、マルゴー村]

安曇野ワイナリー、紅木花2010[原産地:長野県、長和町]



美食は自分自身で完結するものでは無く、食材の美味しさの背景を理解するところから味わいはスタートする。ニューヨークのレストランで見る長たらしいメニュー説明は、食材の背景を説明したものでは無いと思える。



このワイン会に食材を紹介し、勉強させていただいて1年半くらいになるが、その壇上に上がるまでポカミスや迷惑をかけたこと数しれず。めげずに続けられたのもマスターソムリエ高野氏と岩シェフの懐の深さだ。



その真っ直ぐな思いがシェフの心をちょっとでも揺りうごかし、召し上がる人びとへの感動と「美味しい!」に何かしらのエッセンスが加わったら、野菜ソムリエとしての領域が開けてきたことになる。



一流の方々の後ろから必死についていく。これがどんな領域でも修行というものなのだと考える。



さて日本は大変な1年だった。自分も悲しんだり絶望したりしながら、冷静になってみると何も失っていないのだ、ということを実感し、そして感謝がこみあげてきた。変化したのは「心構えと覚悟」。悲しみをそっとつつみ、決してわすれることなく、それでも必死に前にすすむ事に専念しよう、そのために自分が社会で機能することにまい進しよう、そう考えた。



昨年の年賀状は「観光立国日本」をメッセージとして添えた。しかし311日、それは粉々に打ち砕かれた・・・かのように思えた。しかし8ヶ月経過して思いは再びよみがえってきた。日本人はその美しい生き方を高く評価されている。大きな財産だ。



食産業の方々に多くを教わった1年。観光立国日本は高齢化社会を輝かしい社会に変えるためのストラテジーと考えている。


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色と素材の野菜アンチエイジング・ライフ

2011年12月11日 15:32

野菜を栄養学的に因数分解すれば、栄養価の他に最近注目されているのがファイトケミカルです。これは野菜の色やにおいや味に結びついているので、色から分類することが解りやすいとされています。かなりアバウトですし野菜によってはオーバーラップするのですが、楽しく食事を!という点でこのカラー分類は大賛成です。


最近の食事あれこれ。個性的ですけど私のとっては日常手に入る野菜ばかりです。


                                


お弁当に「もって菊」茹でて酢でしめた食用菊をごはんにのっけました。紫色のアントシアニンは酢を使用すると鮮やかな紫へ。



安家地大根の紫、雑穀の黒米と黒豆の色素が白米に移行するとピンク色に変化。これもアントシアニン。



紫イモも同じくアントシアニン。含有量が多いと黒く見えます。




ニンジン(切干大根)はβ-カロテン、カボチャ、黄色いカリフラワーもβ-カロテン。




緑色のブロッコリー、カブの葉っぱ、小松菜、水菜の緑色はクロロフィル。これらはβ-カロテンも豊富に含みます。




アピオスはちっちゃなマメ科の野菜。栄養価がぎっしり。皮には各種ポリフェノールが。



三つ葉根のきんぴら。茶色はクロロゲン酸、ポリフェノールの一つ。少し苦い。レンコンにも。



百合根は炭水化物そして蛋白質や食物繊維が豊富、味わい深く高級食材ですが今年は安く手に入ります。



百合根と里芋のグラタン。





ヒラタケと牡蠣のぺペロンチーニ風。唐辛子の辛さはカプサイシン、赤い色素はカプサンチンというβ-カロテン。少し入れても結構辛い。



ポリフェノールという名前は色々な物質の総称なので、アントシアニンやカテキンなどもポリフェノールに分類されます。



紛らわしいですね。だから色で分類したほうが楽しいのです。

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ジェム・シードレス(カルフォルニア産)お試しレポート

2011年12月5日 20:06

和食でコースの間に口直しのフルーツが入ることがある。


かねてからフレンチやイタリアンでも魚料理と肉料理の間に、口腔内を爽やかにする「心くばり」が欲しいと思っていた。


白ワインから赤へ移行するから、それは必要ない・・・とおっしゃる方も多いかも・・。シニア・ワイン・アドバイザーの和田さんは、特別コメントはなさらなかったけど、迷惑そうでもなかった様子。


しかしお料理のうま味と、アルコール血中濃度が高くなるにつれて、味覚も「贅沢な鈍麻」を生じている。

ワインに邪魔のならない、渋みのない葡萄。これが魚と肉料理の間に相応しい。今回、ワインは特に国産にはこだわらなかったので、カルフォルニア・ジェムシードレスを提供していただいて、参加者にアンケートへ協力していただいた。

個人的には国産の同種の葡萄は味わったことがあるが、酸味と渋みがカルフォルニア産よりは強い。それはそれで美味しさの個性である。カルフォルニア産はストレートな果糖の甘さが特徴だ。

ジェムシードレススアンケート集計
回答数75
年代20代6
 30代5
 40代14
 50代20
 60代21
 70代6
 80代2
 無回答1
性別男性24
 女性51
ジェムシードレスをしっていましたか?
知っている4
知らない66
無回答5
味はいかがでしたか?
美味しい69
普通6
美味しくない0
無回答0
コースメニューの途中で召し上がってみた感想
ブドウがあった方がよい64
どちらでもない9
ブドウがむしろ邪魔0
無回答2
味はいかがでしたか?の個別回答です。
甘い、シャキッと感が良い
フレッシュ
持続する清涼感。包み込み様な感じ
後味が残らくてよい
皮ごと食べられる
今まで食べたブドウの中で一番おいしい
すごく甘い
甘い
皮が薄く、甘味も十分。さわやかに口にあう。
皮ごと食べられ、皮に違和感がない
料理やワインをいただきながらにちょうど良い
上品な味
皮の部分もおいしく食の妨げにならない。口直しをしてくれる。
上品な甘みで大変美味しかった
甘くておいしい。もう一度口にしたい。
甘味が十分で皮も苦にならない
甘い
甘い
甘い
甘すぎずほどよい
とても甘い
ほどよい甘さ
上品で口当たりがよい
皮ごと食べられ、品の良い甘さが口の中で広がりおいしかった。
種もなく皮のまま食べられ、香りも良い
品の良い甘さと種が無く皮まで食べられてよい
種がなく、味も色もよい
甘味があり、皮も邪魔にならない。少し酸味がほしい。
グミの実のような自然な味でおいしい
とにかくおいしい
皮まで食べられ、甘くておいしい
種がなく皮もなく食べやすい。味も美味しい。
種が無く、食べやすい
甘くておいしい。皮もたべられて良い
渋くなく、甘い。種が無く食べやすい。
濃厚


コースメニュー途中での提供についての感想
まるで女性のような味わい
味の強弱が感じられると思う

 口直しにとてもよい(2名)
 とてもおいしい。もう一度食べたい。
 とてもおいしい。もう一度食べたい。美味しかった。
 食を楽しむうえでは最高
 干し柿の甘さでフルーティーでおいしい
 途中にあっても邪魔にならない
 魚料理が少ししょっぱかったので、タイミング良かった。
 話題性があった

味覚のプラス・マイナス、私の飽くなきテーマです。

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