週刊私の食卓10月第4週

2011年10月31日 16:26

医療機関以外での仕事が多くなると外食が多くなる。そういった時は確実に外食以外の食事は抜かりなく自分で準備しないと必ずピット・フォールがある。

でも良いモノ食べたなぁ

週の始まりは先日のイベントの打ち上げ。スペイン料理のお店。


カボチャのクリーム煮パイ包み。パイをスプーンで最初に「コンコン」と叩くのがたまらなく幸せ。



ブラッドオレンジジュース。週半ばに人間ドックを控えているので、今日はワインなし。




翌朝の朝食。なぜかたまらなくコーヒーが飲みたい。やっぱりパン食が合うのよね。ライムギパン。



お弁当。タケノコの炊き込みごはん。手前の卵焼きにはピーマン、唐辛子、パプリカがごっそり入っているぞ。
ここで一句
想い人
重ねて並べて
曲げわっぱ



和歌山県産のおおきな柿を頂く。左側はレギュラーサイズの柿。サクサクとして余り甘くなく、私好み。べちょっと柔らかく甘ったるいのはご勘弁です。




お役所の方々に健康講義。持ち時間3時間なので、息抜きの野菜食べ比べ。どんな方々も食べる時は幸せそうなのね・・。



その日の昼はお堅いお役所ムードに敬意を表し、襟を正しながら浄法寺塗りのお弁当箱だ!



その翌日は大学病院の保育園のお母さんたちに食育講義。16年前、私も利用していた、懐かしい場所。園児のおやつ、手作り栗饅頭をいただく。まごころがいいね!



帰宅が遅くなったので子供たちと近所のすし屋に。すし券を使ったのだが三名すし選択だと予算オーバー。一人分は天丼。しかぁし!この天丼、はみ出していた・・・。

翌日遅く秋田入り。オヤジ度の高い店をチェックしておいた。



地元の人たちが入れ替わり立ち替わり。おでんをいただいていたら、隣のおじさんが串焼きにおでんのからしをつけていた!これは新鮮だ!!

今週はめまぐるしかったけど、いろいろな方々とお会いして、社会勉強させていただきました。

まだまだ修行がたりないようで・・・。

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いぶりがっこ・・感じるその価値

2011年10月26日 20:57

秋田県横手市に、その「いぶりがっこ」の家はある。がっこ(雅香)は漬物のことである。

スモークしてから漬け込む。漬物が工場で大量生産され加工品として量販店にならぶようになると、「いぶりがっこ」の存在が一時期あやうくなったことがある。

しかし家族に美味しい「いぶりがっこ」を食べさせたい、という麗子ばあさんの一心からつくり続けたここの「いぶりがっこ」は、第1回いぶりんぴっく(2007)金賞という評価をいただいた輝かしい経歴がある。たいていその賞にあやかり、大量生産してみたくなるのものだが、こちらでは以前からの製法で無理のない生産量を維持している。


全て手作業。」干し理想、という大根:硬くて辛い、そしてあまり大きくないサイズが漬物となったときに手頃なのだそうだ。

それから横手市山内の伝統野菜、にんじん。昔ながらの、にんじんくささ、固さ、味を持つ。これが人参、という風格を感じる。

いぶりがっこのための野菜。決して規格外の野菜を寄せ集めたのではない。

縄で編み上げて吊るして燻す

いぶしたあとの大根。


つけこむ。玄米とザラメとそれから唐辛子を少々。

数か月たつと発酵して水がでてくる。

やはり白いごはんに合う。秋田は米どころ。レストランでもビジネスホテルの朝食でも秋田はご飯が美味しい。美味しいのが日常。

スーパーには袋入りの漬物が陳列されているけれど賞味期限やら冷蔵やら漬物の環境もずいぶん変わったものだ。本来、漬物に冷蔵庫はいらない。塩分を抑えると保存が難しいので致し方ないが、その分、添加物や人工甘味料を使用されると、また別の健康への影響が問題となる。なにしろ美味しくない。

漬物は食品加工技術であり、食味の向上であったり、保存期間の延長だったりと、目的は多々あるが、気温や湿度などの環境と発酵が素材とうまく調和して美味しく芸術的な製品が出来上がる。その工程には一定の時間が必要。その製造工程を省いたり、味の体裁をととのえるための食品添加物使用・・・そういった漬物は美食の候補にはあげられない。


ここにきて、きれいな場所と燻っている煙を見たならば、これが真のグルマンの美食の追及、そして購入し支持し続けることが一流人生と感じてしまうのだ。

秋田にはこうした発酵伝統食文化が受け継がれ、そこに新たな食文化が付随しはじめている。


麗子ばあさんの働く姿は、それは生き生きと、そして艶やかであった。日ごろ、この年代の方々が車いすで受診し、「痛い、眠れない、死にたい・・・」と連発されるのを聞くのが仕事の一部のわが身・・・麗子ばあさんこそが真の「秋田美人」、そう確信したのである。

いぶりがっこの購入は秋田ふるさと村、道の駅さんない、道の駅十文字

ネット販売は
http://www.umai-mon.com/user/scripts/p_product.php?product_id=21440

でどうぞ。

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週刊私の食卓

2011年10月20日 8:23

そういえば某週刊誌、ボツ原稿にされてしまいましたが・・・。

さて、毎日どんな野菜を食べているの?意外と多い質問です。

特別なものは食べていないと思いますが・・・。


今日はいつもより帰りが1時間遅いので、夕食も遅くなります。そう言って出勤し、帰宅したら驚き。家族が鍋を作ってくれていた。が、しかし「○○鍋のもと」でつくった味。ここで不満を言っては明日に繋がらない。すかさず大根おろしを作りのっけて楽しむ。この大根、辛味が少なく生でも美味しい。



朝市で購入した小玉ねぎ(ペコロスと呼ぶには大きい)を付け合せ用にコンソメ煮。美味しく出来すぎて、主役より目立つ。脇役に徹するように料理できなかった・・・やはり素人料理。



赤茎ほうれん草のソテーと葱のポトフ。このほうれん草は生でも美味しく、クルミとの相性も抜群でサラダで頂くことが多いのですが、今日は沢山食べたかったのでソテー。素早く料理しないとアントシアニンが溶け出してせっかくの赤が台無しになります。


インカのひとみ。蒸して皮ごとそのままで。インカの目覚めともまた異なる味わいです。皮ごと、が美味しさのポイント。決して肉じゃがにしてはいけません。



紅玉りんご。爽やかな甘さが懐かしい味わい。サイズも1個一人分で丁度良く、復刻してほしい品種です。



じょみ。ガマズミ液。不思議な果汁です。マタタビが疲れをいやしたというこの果汁は、薬の味(ケミカル)がするのです。



雑穀とおからと玉ねぎのハンバーグ。テクニックが必要だけど、肉が入っていないと聞くと家族が「えっー」。タネあかししないほうが良かったなぁ。




番外:中華そばは発作的に食べたくなります。盛岡中河の23年前から細く長く通っているお店のラーメン。

思ったよりいろいろ食べているけど、環境が良すぎるのね。幸せな事ですけど。

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すこし愛して・ながく愛して

2011年10月17日 20:49

大原麗子さんはきれいだった。可愛くて美しかった。こんな女房がいい・・そういう声をよく耳にしたし、私自身も「いいなぁ大原麗子」と思っていた。

なぜあの配偶者を選んだのかは解らないが、離婚会見のとき配偶者だった歌手が「男が二人、家庭にいたようなものだ」えっそうなのぉ。

それで自分は苦手な事もあるし、でもお料理だけはスペシャルに上手ではないが、料理の姿が「痛々しくない」ように日常楽しむ努力をしていた。そして現在に続く・・・。



その大原麗子さんのCM「すこし愛して・ながく愛して」は名言である。




それは膵臓のβ細胞への想いと繋がる。膵からのインスリンを分泌するβ細胞、日本人はもともと弱く、しかもかなり個人差がある。また、さまざまな生活環境下で若いころからストレスを与えられ、そのβ細胞の寿命は個人差がとても大きい。

膵β細胞は最終的に減少していく。老化の定義の一つに体細胞の減少という言い方がある。委縮、たるみ・・・細胞の減少を別の表現にしただけに過ぎない。

膵β細胞は高血糖に弱い、高脂肪食に弱い、内臓脂肪から出される生理活性物質に弱い、肥満の時期があるとその時ものすごいストレスを受ける。

また肥満・運動不足などの状況はインスリン抵抗性(インスリンを分泌しているが、もっと分泌するようにと指令が出る)をもたらし、結局膵β細胞は疲弊し最終的に細胞が無くなる。

知らず知らずのうちに膵β細胞を不幸にしている。一緒に暮らしていると、にこやかにしているから、静かだから大丈夫・・・と思っていると、いつの間にか大事なものを失っている。

すこし愛して、ながく愛して・・・相手にストレスを与えない。あなたの傍らの人は、あなたの膵β細胞は大丈夫?



何の関係もないけれど、ペルーの市場で売っていた「マカ」、これで20円なり。

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評価と診断

2011年10月11日 20:52

お酒というものは不思議で、抑制をとるという作用がある。喜怒哀楽をそのままで生活すると日本社会ではなかなか適応できないが、一方、抑制で自分を押しこめ、病になることもあるのは確かだ。


今回のワイン会のテーマ食材は愛媛県西条市の里芋「伊予美人」そして信州中野産きのこ。信頼できる野菜ソムリエ・池田広美さんが手配してくれたので、今回の自分の「仕事」は少なかった。



信州中野産きのこの前菜(マリネ・パイ包み・フリッタータ)




なめこ入り里芋のポタージュ



信州サーモンと里芋のフライ



上田産ジャージー仔牛のブラザードきのこのフリカッセ添え

 


チーズを三種(ブルーチーズ・バジルチーズ・クミン入り硬質チーズ)




有機カポチャのブリュレ シナモンジェラート添え


このワイン会の間じゅう「評価」という事を考えてみた。自分がお金を払って「美味しい・美味しくない」をいうのは簡単だ。しかし報酬をもらって評価をするということは、発する評価が受ける評価となる、ということだ。

話は逸れるが「PSA」という前立腺がんのスクリーニング検査。かなり普及したがその有用性に「疑問・妥当性にかける」などとして、あれだけ普及したのにもかかわらず、一般的な検査で無くなっている。



医師になりたてのころ、病状説明をふたまわり以上も年上の患者さんに行っていたところ、「あなたには診断されたくない」(注:診断基準というものがあり、医師が変われば病名が変わるという話ではない)、として、それを受けた私は、その病状の深刻さから納得して教授に変わっていただいた、という思い出がある。

ワインの話に戻ろう。ワインの品質は葡萄、土地、水、気温、醸造家・・あらゆる自然と人間のちからを結集し、決してほかに同じものはない、そしてそれを長い間継承するブランドというものがあってこその産物である。心意気とかプライドが携っているのだ。

[今回のワイン]
知多半島東海ワイン・白2010 [原産地:愛知県、東海市]
安曇野ワイナリー、長野県原産地呼称認定・シャルドネ・シュールリー2010[原産地・長野県、高山村]
シャンパーニュ・ロアン・ロセ・ブリュット[原産地:フランス、シャンパーニュ地方]
知田半島東海ワイン・赤2010 [原産地:愛知県、東海市]
シャトー・ベルレール・ラ・ロワイエール2006 [原産地:フランス、ボルドー地方、コート・ド・ブライ地方]
井筒ワイン、長野県原産地呼称認定・メルロー樽熟 2009 [原産地:長野県、塩尻市]
安曇野ワイナリー、雪木花 2010 [原産地:長野県、高山村]

そのようなワインであるならば、決して簡易診断してはいけない。スクリーニング検査だとしてもその検査台に乗せる事すらしてはいけない場合がある。
そもそもスケールとか単位というものは比較するために都合よくこしらえたもの。そして人はその数値や座標軸に可視化されると、他と比較したり、数値を良くしようと翻弄されてしまう結果となる。そこには高品質のワインから高得点へのワイン造りへと意識がゆらぎ、場合によっては焦って添加物を加えたりすることもあるかもしれない。そのような失敗例を何度か傍観している。

食品加工と醸造は違う。日本の発酵文化が少なくなったことを思い出そう。「美味しい」を提示されて、自分の感性で探すことをしなくなり、料亭の味?などに錯覚をひきおこす。視覚から入る情報は条件反射をもたらし、ある狭い領域に感性が、いつの間にか踏みとどまってしまうこともあるのだ。

葡萄栽培農家さん、醸造家、それぞれに敬意を示すなら簡易診断などしてはいけない。ブドウジュースならまだしも・・・。
 
         

そういうことを考えながら、ものすごく不機嫌にワインを飲んでいた・・・。今回のワインは一つしか覚えていない。安曇野ワイナリーの醸造家戸川氏の白ワイン。つくり手のやさしさ。



そしもうひとり癒してくれたのは「岩シェフ」。お料理も今回さらに繊細・完璧を押しつけのないようにメニューに表現する技術。味だけではない・・・ちょっと里芋の発送の段取りで迷惑をかけてしまったお詫びに厨房にあいさつに伺った。ほんの2-3分お話しただけだが、どんな時も相手の立場を思いやる気持ちに満ちあふれている。すでにワインもすすんで、いつもなら陽気なメグさんだが、今晩は肩のあたりの筋肉がピキピキ、目は三角・・・。抑制が取れて噴き出した不機嫌という感情はいただけない・・・お酒の背景には人がいないと、孤独にまみれた寂しい酔いが待っている。



岩シェフのお蔭で持ち直して笑顔でおひらき。

評価や診断は謙虚さを忘れてはいけない。3時間で再学習した。

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「甘い」にみる経済事情

2011年10月1日 20:08

経済状況と栄養比率は一定の傾向がある。


高度経済成長をひた走って来た日本の食料事情を顧みると確かに食卓の変化として記憶によみがえる。

1960年代~お米を主体とした食卓。魚、味噌汁、野菜料理、時折コロッケとかカレーとか洋風のおかずが登場してきたころだ。買い物は近所の商店街。

1980年~バブル期。世界中から食材を買い集めて「グルメ」(注:本当の意味でのグルメではないため、グルマンは別の言葉としてとっておきたい)ブームが。

そうすると炭水化物の摂取は少なくなり動物性脂肪の比率が高くなる。しかも炭水化物は米や小麦などではない「お砂糖」からの摂取割合が多くなる。若い女性はお米を食べずにお菓子を食べているようだ。

最近は、このお砂糖も天然素材(サトウキビなど)ではない合成甘味料が、製造コストが安い、あるいはエネルギーが少ないということでもてはやされている。でも美味しくないでしょう?まやかしで信頼も満足もできない今の経済状況を反映しているかも。


どうせ食べるなら優れたスイーツを選ぶ。それが真のグルマンだ。


とらやの羊羹の味は合成甘味料では再現できない。羊羹は嫌い、という人も一度くらい食べた方がいいと思う。日本和菓子界の重鎮だ。



岩手県岩泉町中松屋の栗モンブラン。唯一好きなケーキ。自然な栗の味が出ている。地方にも「きらり」としたスイーツが沢山ある。発掘調査もまた楽しいものだ。

たまに安いサツマイモや豆を練り上げたものに色を付け、甘味料で味をのせて、モンブランと名乗ってはいるものがあるが、いただけない。味と値段でわかりますけどね。一流の味は知っておくべき。スイーツ1回なら手に入る。

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